美術ファン以外にはあまり知られていないミラノのブレラ美術館。実は見ごたえのある絵画が沢山!特にチェックしてほしい5作品をピックアップして紹介。ミラノ観光の前に要チェック!
まき
ミラノのブレラ絵画館、フィレンツェのウフィツィ美術館に比べると知名度低いけど、結構いい作品あるよね
アンナ
美術に詳しくないからよくわからん。古い宗教画ばかりのイメージ
ミラノに住んでるのにもったいない。ブレラ絵画館で絶対見るべき名画5点を紹介させて!
聖母の結婚 ラファエロ・サンツィオ
まずはルネッサンス3大巨匠のひとり、ラファエロの初期作品!当時21歳でこの完成度よ
聖母の結婚ってことは、指輪を差し出されてる女性はマリア?
そう。中央の大司祭をはさんで右が夫となるヨセフ。結婚当時マリアは13~16歳くらいだったのに対しヨセフは28~90歳くらいと諸説あって、画家や作品によって若者にも老人にも描かれる。この作品では渋めの30代って感じかな?
左側の棒をもった人たちは何?
これはね、大司祭の夢のお告げ「枝を持参し、花が咲いた者こそマリアの夫」を聞いて、我こそはと集まってきた若者たち
マリア、モテモテだったんだw そういやよく見るとヨセフの枝だけ先端に花が咲いてるね
右手前の男が「なんだよ!!」って枝を折ってるのがいいよね。競馬で負けて馬券バラまいてる人みたい
聖母子と智天使 アンドレア・マンテーニャ
率直な感想はキモい。背景を埋めつくす、頭に羽が生えてるやつらは天使だよね?
天使ではあるけど、よく見る子どもに羽が生えたタイプの天使(プッティ)とは別物。プッティは単なるにぎやかしだけど、この方たちは最上位の天使です。羽が白いのが智天使(ケルビム)で、羽が赤いのは熾天使(セラフィム)
偉いのはいいとして、全員表情が怖いのは何?皮膚がたるんでて、子どもにも老人にも見えて不気味だし…
当時は特別感出すためにキリストも子どもらしからぬ顔に描く風潮だったし、威厳を出そうとした結果がコレなのかもしれないね
エマオの晩餐 カラヴァッジョ
真っ黒な背景に光のコントラストで臨場感たっぷりだね!
ドラマティックでダイナミックな明暗表現の先駆者がカラバッジョなのだ。“カラヴァッジェスキ(カラヴァッジョ主義者)”を名乗る、作風を模倣した画家もたくさん生まれてブームを起こした
アムラーみたいな。この絵はどんな場面なの?後ろのメイドまでもが身を乗り出して耳を傾けているところを見るに、大事な話をしてそうだけど
エマオの晩餐は新約聖書のエピソード。死の3日後に復活したキリストが、エマオという町で2人の弟子と会い、一緒に食事をするんだけど、弟子たちはキリストだとわからないんだよね
ということは、左から二番目はキリスト?自分の教祖の顔、数日で忘れる??
そうだよ。弟子たちが気づかなかったのは、以前とは別の姿で現れたからともいわれる。で、話してるうちにキリストだと気づく瞬間があって、この絵はそれを描いてる
だからびっくりしてるんだ!
ちなみに弟子は座ってる2人で、立ってるのは宿屋の夫妻。弟子たちは「まさかあなたが…!」って感じだろうけど、夫妻は「なんだなんだ」くらいの感じなんじゃないかなw
死せるキリスト アンドレア・マンテーニャ
これはわかる!手足に穴が開いてるし、磔刑後のキリストの死体だよね
そう。嘆いてるのは聖母マリア、聖ヨハネ、マグダラのマリア
親戚や親しい人が死を嘆くってテーマもわかりやすい。でも視点が独特…なんでこの角度?
鑑賞者に、自分もキリストの死に立ち会ってるように感じさせたかったんじゃないかな
確かに目の前で横たわってるように見える!でも体のバランスになんだか違和感があるような
下半身や足を小さく描いてるからね。実際この位置からみたら、足で体の大半が隠れてしまうはず
臨場感を出しつつ、キリストの全身を入れ込むために考え抜かれた構図なんだね!
ハガルとイシュマエルを追放するアブラハム グエルチーノ
ハガル?イシュマエル?聞いたことない名前…
旧約聖書・創世記の登場人物ですね。右手の女性がハガル、子どもがイシュマエル、中央の老人がアブラハム
パッと見、祖父に叱られる孫とその子をかばう母親に見える
母子は正解!ただし老人は子どもの父親で、老人と女性の関係は主人と召使い
召使いに子ども産ませた上に追放しようとしてる最低じいさんってこと!?
正妻との間に子どもができなかったから、世継ぎを残すために正妻公認で使用人との間に子をもうけたんだけど、その後正妻に子ができて邪魔になっちゃうんだよね
だとしても追い出すのはひどい。とくに子どもは何の非もないのに…
実はアブラハムは追い出しに乗り気ではなくて、追い出せとけプレッシャーをかけたのは正妻。一番左で後ろを向いてるのがそう
黒幕はこの人か。説明聞いてから見ると、後ろ姿から意地悪なオーラ出てるような気がしてきた
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