「受胎告知」の絵を見比べ!定番ダ・ヴィンチ、シュールなロレンツォ・ロット、流行の変化がわかるエル・グレコ、問題作ロセッティなど7作まとめ

アート&音楽

有名画家たちが絵画の題材にしている「受胎告知」、著名な作品を見比べて解説!時代背景やディティールの解説を通してそれぞれの絵画の特徴や、違いを説明しています。

東京在住<br>まき
東京在住
まき

この前サイゼリヤに飾られてる絵画の記事でフラ・アンジェリコの「受胎告知」について話したけど、受胎告知がどんなシーンかは知ってるよね?

ミラノ在住<br>アンナ
ミラノ在住
アンナ

ある日突然天使が目の前に現れて、「あなたは神の子を産みます」と言われた…って感じ?

そうそう!重要かつわかりやすいシーンで、さまざまな画家が描いてる。個人的に好きな作品をいくつかピックアップしたので一緒にみていこう

ダ・ヴィンチの受胎告知(1475年頃)

まずは数ある中でも有名なダ・ヴィンチの受胎告知

フィレンツェのウフィツィ美術館で実物を見たことある!イタリアでも有名だよ。ビッグニュースの告知なのに二人とも表情に出さず、大物感があるね

表情を乏しくして人間味を消すことで、神々しさやおごそかさ強められているね

天使がピースしてるように見えるけど、これは「おめでと!」って意味?

二本指を立てるのは祝福のジェスチャー。今もカトリックは指をこの形で十字を切るよね。ピースみたいに指先を開かないから別物だよ

天使が持ってる白い花は何?

白百合でマリアの純潔を表しているよ。白百合は受胎告知ではマリア・天使に次ぐスタメンだから注目してみよう

ボッティチェリの受胎告知(1481年頃)

「ヴィーナスの誕生」や「春」で有名なボッティチェリの受胎告知

ダ・ヴィンチと比べると絵に動きがあるね!でもこのマリア、ちょっと拒否ってない?天使に手を差し伸べてるというより、身体を後ろに引いてる感じ

天使も「そこを何とか…!」って追いすがってるみたいだよねwマリアの頭の位置が高く、天使が低い構図のせいもあるかも

でも表情に拒否感はないね。戸惑いつつも受け入れる複雑な心境が表現されてる

ちなみに受胎告知は大きく分けて①天使登場 ②告知の瞬間 ③告知への反応 の3パターンがあるんだけど、これは③にあたるね。ダヴィンチのは②。次で①をみてみよう

ティントレットの受胎告知(1587年頃)

天使が飛んできた瞬間!子ども天使のお連れもわんさかいて、躍動感がすごい。マリアも全身で驚いてる

ダ・ヴィンチみたいな静粛な雰囲気はないけど見ごたえがあるよね。ただ個人的には「ここ、どこ?」と思う…奥にベッドがあるけど手前がオープンになってて撮影セットみたい

マリアの上にいる白い鳩はもしかして神の仮の姿?漫画「聖☆お兄さん」でそんなネタを見た記憶が…

キリスト教の三位一体(父である神=子であるイエス=精霊)の、精霊としての姿が鳩。受胎告知の絵にもぼちぼち登場してるよ

ロレンツォ・ロットの受胎告知(1527年頃)

面白バージョンの受胎告知!?神は戸口まで降臨してるし、天使はボウリング投げたあとみたいなポーズだし、横切る猫は謎に躍動感あるし、なんだか喜劇のワンシーンみたい

画家当人はウケ狙ったわけじゃないだろうけど、現代の感覚からするとなんかシュールよね

驚いてるはずのマリアが天使を見ずにカメラ目線で ( ᐛ👐) パァ してるのはなぜ?

マリアが鑑賞者の方を向いてるのは動揺と混乱を表現したと考えられてるよ。天使に驚いて逃げるネコもマリアの心象表現だとか

エル・グレコの受胎告知(1609年)

ピシャーン!って雷の音が聞こえてきそう。人物が大きく描かれて迫力がある

上の4枚はルネッサンス期だけど、これは少し後のバロック期の作品。穏やかさや調和を感じさせるルネッサンスに対し、激しく感情的な表現がバロックの特徴

流行が変わったんだね?理由はあるの?

ヨーロッパで宗教改革が起きたことが大きい。偶像崇拝を禁止するプロテスタントの増加に対し、カトリック教会は信者の信仰を強化するために、ドラマティックで圧倒されるような美術を必要とした

シモーネ・マルティーニの受胎告知 (1333年頃)

いったん時代をさかのぼって、中世の作品もいれてみました

表情や動きが固くて古さを感じるね。天使が持ってる、白百合じゃない植物は何?

シエナのシンボル、オリーブの枝だね。この絵はシエナの大聖堂のために描かれたものなんだけど、当時シエナとフィレンツェは仲が悪かった。白百合は純潔のシンボルであると同時にフィレンツェのシンボルでもあるから、シエナの優位性を表すために天使にオリーブの枝を持たせた

よく見ると、天使の顔とマリアの顔をつなぐようにビームみたいなのが出てる?

これは天使がマリアに向けたセリフ「おめでとう、神の子を身ごもりました」みたいなことが文字で書かれてる。漫画のフキダシみたいなもので、中世の絵画によく見られた

そんなあからさまな表現方法があるんだ!

ダンテ・ガブリエル・ロセッティの受胎告知(1850年)

これ、右がマリアだよね?めっちゃ目が虚ろだけど大丈夫?ちょっと怖い…

受胎告知にショックを受けているようにも見えるよね。この絵は発表当時、マリアが神聖に見えない、普通の女の子みたい、という批判にあった

確かに。部屋も服装も簡素で病室みたい。天使に羽がないのもあって、一見受胎告知とわかりにくい

でも、実際に十代半ばの女の子が急に受胎告知されたらこんな顔にもなるよね。宗教的にはこんな顔させちゃマズいけど、現代の感覚からするとリアル!

《受胎告知》は多くの画家たちが手掛けてきた、人々を魅了するテーマだ。時代によって、また画家によっても全く異なり、イエスも描かれていないのに、なぜ人気だったのか――。西洋絵画屈指の名場面の魅力を明らかにする。
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