米津玄師の楽曲「Pale Blue」の歌詞をレビュー。別れの歌?始まりの歌?徐々に変化していく気持ちの描写や米津玄師ならではの独特な比喩に注目!
曲名:Pale Blue
アーティスト名:米津玄師
リリース日:2021年6月16日
まき
この曲はドラマ「リコカツ」のために書き下ろしされたんだね。「離婚からはじまる恋愛」がテーマ
アンナ
登場するのは、愛し合っていたのに少しずつ気持ちがズレてきてしまったカップル。でも別れ話を進める中で、少なくとも片方は相手への愛情が再び芽生えていると気付いた話だね
比喩も多いし直接的な表現の歌詞ではないから、部分ごとに区切って深堀りしてみようか
ずっと ずっと ずっと
恋をしていた
これでさよなら
あなたのことが何よりも大切でした
望み通りの終わりじゃなかった
あなたはどうですか
友達にすら 戻れないから
私 空を見ていました
最後くらいまた春めくような
綺麗なさようならしましょう
“望み通りの終わりじゃなかった~綺麗にさよならしましょう”とお別れモードで曲がスタートするね
実際尋ねてないにせよ、“あなたはどうですか”と気にできる余裕もあって、淡々としてる
“友達にすら 戻れないから“って、最近友達に戻れないのを嘆くやつ多いな…
“私 空を見ていました”でタイトルの青が差し込まれてるね。でも、別れ話の最中に空見られたら私ムカついちゃうな
それは水もやらず枯れたエーデルワイス
黒ずみ出す耳飾り
こんなつまらない映画などもうおしまい
なのにエンドロールの途中で悲しくなった
ねぇ この想いは何
恋人との現状を“水もやらず枯れたエーデルワイス 黒ずみ出す耳飾り”に例えていることからも、お互いがきちんと向き合わなかったから少しずつ関係に歪みが出てきてしまって、別れを迎えるのもしょうがないと考えているのかな
エーデルワイスの花言葉には「初恋の感動」や「大切な思い出」があるから、元々は恋人のことをとても大切に思ってたし、今もその感覚を覚えてはいるんだね
慢性でつきあってきた状況を“つまらない映画“に、別れ話を“エンドロールの途中“に例えているのが秀逸!エンドロールって映画が終わり切った後に流れているものだから、関係が終着点を迎えたっていうのが比喩からしっかりと伝わる
あなたが見据えた未来に私も居たい
鼻先が触れるくらいにあなたを見つめたい
張り裂けるほどの痛みを叫びたいのに
私あなたに恋をした
花束と一緒に
ずっと ずっと ずっと
恋をしていた
“あなたが見据えた未来に私も居たい“とここから急に未来を見据えた話し方になるんだね。今まで別れる選択肢しかなかったのに、ちょっと風向きが変わった気がする
“見据えた未来”で広く開けた空間、“鼻先が触れるくらい”で近い距離を表して遠近のコントラストを効かせることで、ワンフレーズの中に奥行きが出てていいね
“花束と一緒に”は、結婚を象徴しているのかな
晴れた日の朝
あなたのことがどこまでも大切でした
言えないでいた言葉交わし合った
笑えるくらい穏やかに
それはひどく丈のずれたオートクチュール
ほつれてゆくボタンの穴
こんなチグハグな舞台はもう閉めたい
なのにエピローグの台詞が言えなくなった
ねえ あなたを見つめてた
”言えないでいた言葉交わし合った 笑えるくらい穏やかに”、別れ話で腹を割って話せたんだね。しかも罵り合いじゃなく、ちゃんと対話が出来ていそう。こういう別れ方、理想だな~
現実の別れは醜くなりがちだからね
1番では映画だった比喩が舞台になっていて、こっちも秀逸!今まですれ違ってばかりだったのを”チグハグな舞台”に、別れの言葉を”エピローグの台詞”に例えてるんだね
別れるべきと思っていても、いざ別れを告げようとしたら言葉に詰まっちゃったってリアルだよね。台詞を忘れたんじゃなく”言えなくなった”なのが、抗えない強い感情を感じられて良い
どれだけの笑顔ほども意味がないくらい
どこか導かれるようにあなたと出逢いたい
いまさら言いたいことなんて一つもないのに
私あなたに恋をした
苦しさと一緒に
ずっと ずっと ずっと
“どれだけの笑顔ほども意味がないくらい どこか導かれるようにあなたと出逢いたい“…ここはよくわからん。感情を超えたところで相手と近くにいたいという気持ちを現してるのかな。要はもっかい相手と関係をリスタートしたいってことよね?
1番では“花束と一緒に”だった部分が“苦しさと一緒に”に変わってて、それぞれ結婚・別れを表してる感じ
あなたの腕その胸の中
強く引き合う引力で
ありふれていたい 淡く青いメロディー
行かないで ここにいて 傍で
何も言わないままで
忘れられないくらいに抱き締めて
ずっと ずっと
ずっと ずっと ずっと
恋をしている
ここで3拍子に変調するね!歌詞の内容的にも、気持ちの向きが別れから「やっぱり近くにいたい!」に変化したことを分かりやすく示してる
ワルツみたいで、状況好転の予感がする
少し前の“いまさら言いたいことなんて一つもないのに”では伝えたい言葉が無いことをネガティブに感じていたのに、ここの“何も言わないままで”は「言葉が無くても通じ合う」とポジティブに見てる。同じ状況でも気の持ちようによって正反対に捉えられるんだね
“ あなたの腕その胸の中~忘れられないくらいに抱き締めて“ 、の部分で枯れたと思っていた愛情が完全に戻ってきているのを感じさせる。冒頭で別れる気満々だった彼はいずこ?ずっと「恋をしていた」だったのに、最後に“恋をしている“ になったことで、復縁確定しましたね!
復縁確定してないよ。再度恋をしたのは主人公だけで、相手の気持ちはわからないから…
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